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自鳴琴嬉遊館
目白台にあるオルゴールの小さな博物館で開催されている「魅惑のオートマタ展」に出かけてきました。展示の雑感はサイトの日記にアップしていますので、宜しければ御覧になってくださいませ(まだちょっと書きかけですが)。あちらの話しを読んでいることを前提に、購入したポストカードやパンフなどを紹介していきます。

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まずはパンフ類。緑のものは、博物館のパンフです。300円也。薄い冊子ではありますが、所蔵品のシリンダーオルゴール、ディスコルゴール、ストリートオルガン、オートマタなどの写真がオールカラーで印刷されています。テキストはごくあっさりしたもので、ヴィジュアル重視という内容かな。写真がきれいでカタログや資料としても楽しめるので、興味がある方なら買っても損はないかと。白い冊子はいただいたオートマタ展のパンフレット。展示品のリストや工房ごとの作品の解説や写真が載っています。

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購入したポストカードたち。一枚105円だったと思います。オートマタ展で気に入ったものを中心にセレクトしました。右から「シャボン玉吹きの少年」。この角度はあまりよくないと思うのですが、実物は小さめながら繊細な作りでとってもきれいな子でした。私のミニチュア偏愛趣味が表れているセレクトかも。次が「ストリートオルガン」。これではないですけれど、別なタイプを実際に手回しさせていただきました。ストリートオルガンの音は大好きです。次が「ジオラマ」。ジオラマ型のオルゴール。かなり大型で、全部で11ヶ所動きます。ジオラマ型は私初めて見ました。ジオラマ・パノラマ、このあたりの視覚とメディアと人々の意識の変容のことはもっと自分なりに考察していきたいところです。今度またベンヤミンを読み直そうっと。一番左は実は今日は見れなかったのだけど、妙に気に入って買った「子猫のダンス」。あんまりかわいくない猫がシュールでいい感じ。これは常設展示されているものらしいので、いつか見る機会があるでしょう。

以下は独断と偏見によるオートマタやオルゴールが登場するおすすめ作品。

・久世光彦『蝶とヒットラー』(文春文庫)
幻想とあやかしの店を、久世光彦独特の文体で綴ったエッセイ。ここで紹介されている店はすべて実在のものではあるが、久世光彦というフィルターを通した視点で眺められ、幻想と追想が加味されている。義眼工房、彩色玻璃館、鈍色印章店、貝殻追放物語などタイトルも美しい。ちなみに自鳴琴嬉遊館で取り上げられているのが、小さなオルゴールの博物館です。

・スティーヴン・ミルハウザー「アウグスト・エッシェンブルク」(白水uブックス『イン・ザ・ペニー・アーケード収録』)
ミルハウザーの作品はどれもおすすめだが、オートマタといえばこれだろう。天才的なからくり人形師の若者を主人公に、崇高な芸術を追い求める彼の栄光と挫折を描いた物語。ミルハウザーの描く、緻密で精緻なディテールに幻惑される。彼の作品の中に広がる、めくるめくミクロコスモス。ミルハウザーは作品と文体にヨーロッパ的な香気を漂わせる、特異で希有な現代アメリカの作家。

・岡野史佳『少年宇宙』(白泉社)
これは漫画。自動人形のコンラッドを主人公に、創造主のアンリ・フレアマン博士、助手のジャン、同じくオートマタの少女マドレーヌや猫のカノープスなどがトイズ・ヒルで繰り広げる物語。岡野さん曰く「人形・鉱石・宇宙と趣味丸出しで書いたもの」だそうだが、あやうい無機物たちの揺らぎ、硬質で透明で美しい物語がお見事。連作短編集で、まだまだ続きが読みたい作品。
by yuriha_ephemera | 2006-11-18 13:06 | 本・映画・アート
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