一箱古本市出品本リスト*その2
・『中井英夫全集6 ケンタウロスの嘆き』創元ライブラリ 
「黒鳥の旅もしくは幻想庭園」「ケンタウロスの嘆き」「地下を旅して」が収録されています。中井英夫のエッセイ集で、書評などが興味深いです。

・中原淳一『中原淳一の幸せな食卓』集英社be文庫、2003
昭和を彩る料理と歳時記。中原淳一の文章がこうして文庫で手軽に読めるようになったことは、素晴らしいことだと思います。レトロなレシピを楽しむもよし、絵を眺めるもよし、です。中原淳一の本を読むと、お洒落のセンスばかりではなく、人への気遣いや思いやりを改めて噛み締めます。ベタですが、心がきれいな人が一番うつくしいのです。

・原田康子『挽歌』
北海道在住の無名の女性作家の作品がベストセラーとなり、挽歌ブームを生み出したのはもう半世紀以上も前のこと。今の視点から見ると「若い女性と既婚男性の不倫」というごく普通(?)のプロットですが、北海度を舞台にしたこのロマンは大ペストセラーになりました。今回出品するのは東都書房版(昭和32年発行の23版)です。コートの衿を立てた著者写真が収録されています。ちなみに原田康子は『サビタの記憶・廃園』が好きです。


・堀江敏幸『いつか王子駅で』、新潮社、2001
上京して初めて住んだのが町屋なので、都電荒川線に対する思い入れは非常にあります。ちなみになぜ堀江作品の中でこの本を選んだかというと、咲ちゃんという女の子が印象的でかわいいからです。これを「少女」にこじつけるのはさすがに苦しいですね(笑)。堀江敏幸は、とても信頼している書き手です。あの文体がもうたまりません。

・百瀬博教『スノードームに魅せられて』河出書房新社、2001
スノードームのちいさな世界はいくら眺めても見飽きることはありません。ちなみに谷中には素敵なスノードームのお店があります。COMICAL LIFE(コミカル ライフ)。谷中コミュニティーセンターのすぐ側です。『スノードームに魅せられて』をゲットしてCOMICAL LIFEへ行けばフルコースです(笑)。

・氷室冴子『碧の迷宮(上)』角川文庫
今年の6月に亡くなられた氷室冴子さんに哀悼の念を込めて、一冊選びました。作者の死によって未完となった物語は『金の海銀の大地』だけではありません。この『碧の迷宮』も上巻だけが出版され、下巻はついに出ることはありませんでした。永久に完結することのない、王朝ロマンミステリー。私にとって氷室さんは、永遠の少女小説作家です。

・ユズキカズ『枇杷の樹の下で』青林工藝社、2001
「庭と植物 縁側 少女」。私の函の中では珍しく湿度高めな一冊。収録作品は「枇杷の樹の下で」「八月の妹」「沖の小娘」「黄金時代Ⅰ・Ⅱ」「まゆこ理科室」「火喰鳥の庭」「みずほと林子」「夏の庭」。思わず手に取ってみたくなりませんか?

・別冊幻想文学『怪人タネラムネラ 種村季弘の箱』
種村ファンは必見の一冊。澁澤に比べると一般的な知名度はぐっと低いのでしょうが、種村季弘さんはいいですよぇ。今更ながらいろいろな本を読みたくなってきています。表紙のオブジェは勝本みつるさんです。

・モーンストルムIテンタチオ 『誘惑する妖怪たち』 トレヴィル、1993
ヒエロニムス・ボスをはじめ、人間の想像力で生み出された怪物(モンスター)が描かれた作品を集めた画集です。今はなきトレヴィルそしてリブロポート、好きだったんですけどね…。潰れた時はショックでした。

・『鳩よ!』2001年12月号「特集 坪内祐三 いつも読書中」
坪内祐三さんの仕事場の写真が面白いです。いや面白いというか、本の積みっぷりがすさまじいというか。人の本棚の写真を見るのは楽しいです。

・『太陽』1995年12月 「特集 博物館はワンダーランド」
つい最近BRUTUSで『博物館ラブ」特集が組まれてとてもツボな内容でしたが、それまでは博物館特集といえば私にとってはこれでした。「不思議で、キッチュで、タメになる」というコピーがついています。カラー写真が満載で、眺めていて楽しいです。

・『本の本』1976年1月 特集「星のロマン」
その昔、『本の本』という書誌と集書の雑誌がありました。割合短命だったのですが、よい特集を組んでいて、挿絵画家についての記事もあって、気がつけば手元に何冊も集まっています。出品するのはNEW ATLANTISらしく「星のロマン」特集を選んでみました。目録頁に赤ボールペンで書き込みがあります。

・『BOOKISH』第二号 「特集 アナイス・ニン」
関西発の雑誌『BOOKISH』は創刊号の特集「稲垣足穂」をはじめ、海野弘や木山捷平など、よい特集を組んでいた雑誌でした。アナイス・ニンは好きです。彼女の日記を読みたくて原書を買ったのにもう5年くらい積読中…。。。

・日本児童文庫21『光と音の研究 望遠鏡・写真機・ラジオ』アルス
レトロな理科本その1。全体的に素朴な挿絵や本の作りがいい味出してます。目次を見ると、しょっぱなから「反射幻灯機のつくりかた」。手作り、いいですね。他にも望遠鏡や写真機の構造解説や音や光、さらにラジオや映画テレビジョンについてなど多様な内容です。

・小学生全集61『児童物理化學物語』
レトロな理科本その2。小学生全集はさまざまな内容の巻がありますが、理科系のものを安く見つけ次第ちょこちょこ集めています。今回は何にしようか迷って、あえてこれにしてみました。それにしても旧字で書かれた理科本を眺めるのは楽しすぎます。

・『アナ・バラッド写真集』リブロポート、1989
モノクロームの終末の風景。帯には「J・G・バラードの「終末の浜辺」、「近未来の神話」が、ここに息づく。」とあります。解説は浅田彰です。廃墟と化した自然と風景が満ちあふれていて、息苦しいような、そしてどこか心地よい気分になります。

・ジュール・ベルヌ『十五少年漂流記』小学館、1961
ヴェルヌ作品もいろいろありますが、タイトルに「少年」が入っているこれを選んでみました。小学館から発行されていた少年少女名作文学全集の17巻です。無人島に漂着した十五人の少年たちの物語。外函から出した本のデザインがレトロポップで、かわいくて、とても気に入ってます。ぜひお手に取って本を引き出してデザインをチェックしてください。

・M・メーテルリンク『蟻の生活』工作舎、1981
『青い鳥』で有名なノーベル賞詩人メーテルリンクには、『蜜蜂の生活』『白蟻の生活』『花の知恵』などの博物学的な著作があります。2000年に改訂版が出版されていますが、初期工作舎本マニアらしく1981年版の本を出品します。また最近工作舎からメーテルリンクの未邦訳だった『ガラス蜘蛛』が発売されました!サイトには「メーテルリンクのもうひとつの博物文学の名品、本邦初訳。幼い頃の記憶を綴った最後のエッセイ「青い泡」も収録。」とあり、もうこれは買うしかないという感じです。

・スティーブン・ミルハウザー『バーナム博物館』福武文庫、1995
ミルハウザーは大好きな作家です。彼の作品を読むと、心の中のミクロコスモスが増幅するのを感じます。『バーナム博物館』は白水社uブックスにも入っていますが、福武文庫好きなのでこちらを。最近映画化された「幻影師、アイゼンハイム」も収録されています。

・ロード・ダンセイニ『魔法の国の旅人』ハヤカワ文庫、1982
ダンセイニは『エルフランドの王女』をはじめとする「陰」な作品に最も惹かれますが、こちらは「陽」のテイストが強く出たホラ話し集です。カバーや挿絵がJ・J・グランヴィルなのもポイントです。ダンセイニ好きばかりではなく、グランヴィル好きにもおすすめです。

・O・ワイルドほか『ゲイ短編小説集』平凡社ライブラリー、1999
オスカー・ワイルト、ヘンリー・ジェイムズ、サキ、D.H.ロレンス、E.M.フォスターなど英米文学からのセレクトです。作品はもちろんのこと、作品の解説を合わせて読むとより一層深く味わえます。

・『ベンヤミン・コレクション3 記憶への旅』ちくま学芸文庫、1997
私は本当は「ベンヤミンの思想」を理解してツールとして用いなければいけない立ち位置にいるのですが、どうしたってそれよりも「ベンヤミンの感覚や感性」に惹かれ続けているのです。素晴らしき「一方交通路」や「1900年頃のベルリンの幼年時代」などが収録されています。「都市の肖像」もまたよい。ベンヤミンのエッセンスが詰まった一冊です。

・ルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ』ちくま文庫、1987
ルイス・キャロルといえば「アリス」ですが、そこはあえてはずして『シルヴィーとブルーノ』をセレクト。ヴィクトリア朝のイギリスという現実世界とフェアリーランドの交差、ふんだんに鏤められたナンセンスなど、これもまた楽しい一冊です。

・山崎直美著・訳『鏡の国のアリスの算数パズル』、さ・え・ら書房、1985
そうはいうものの、やっぱりアリス本も入れたいし…。変化球ですが、こんなのはいかがでしょう?ルイス・キャロルことチャールズ・ドジソンは数学講師でした。算数パズルなので、数学嫌いでも大丈夫?!

・Plastic Tree tour 2000 SLEEP WALK.
Plastic Treeが2000年に行ったツアー「SLEEP WALK.」ツアーのパンフレットです。本棚を整理していたらなぜかこれが二冊出てきました…。。ダブリに気がつかずに買ったようです。写真が医療系なので、世界観としてはそうズレていないかな?と思い函に入れてみました。このパンフの写真、かなりお気に入りです。無機質な背景に佇む、なんだか不思議な人たち(笑)。赤い彗星時代のアキラや黒髪オカッパな竜太朗、ドラムはまだ隆。海月さんはもちろんのこと、プラを知らない方もぜひどうぞ。

・イメージフォーラム『キューブリック』1988
キューブリックは「時計仕掛けのオレンジ」や「2001年宇宙の旅」、「博士の異常な愛情 又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」などが気に入っています。あと好きというのとは違うけれど、『シャイニング』の映像は時折妙にフラッシュバックします。強引にこじつければ、「時計仕掛けのオレンジ」が少年、「ロリータ」が少女でしょうか。

・別冊奇想天外『レイ・ブラッドベリ大全集』、奇想天外社、1981
このところ書店に行くとブラッドベリの本が新刊で出ているのがよく目につきます。ファンとしてはうれしいですね。読んでいない作品がまだまだあるから、少しずつ読破していかなきゃ。今回は小説ではなく、このムックを選んでみました。小笠原豊樹、川又千秋、萩尾望都による座談会「レイ・ブラッドベリの魅力を語る」なども収録されています。

・htwi「鉱物王国」
小林健二、まりの・るうにい、勝本みつる、赤岡美妙、建石修志、瀬戸照などなど、鉱物好きにはたまらない一冊です。写真がカラーで、たいそう美しいのもおすすめ。イメージの王国、ミネラルキングダム。桑原弘明さんのスコープも紹介されています。
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by yuriha_ephemera | 2008-10-11 11:38 | 活動の記録 | Comments(2)
Commented at 2008-10-16 08:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yuriha_ephemera at 2008-10-17 14:15
鍵付きコメントさま>
こんにちは。コメントをありがとうございます!
本のラインアップ、誉めていただけてうれしいです。
堀江敏幸もミルハウザーも、それぞれゆるぎない世界と文体を築き上げていますよね。テイストは違いますが、どちらも大好きな書き手です。
工作舎の本は面白いので、昔からファンだし本もこつこつ集めています。また来年も何か工作舎本を出品する予定です。
この前名古屋でもブックイベントがあったようですし、一箱古本市的な動きは全国に広まっているようです。
でも元祖である不忍ブックストリートの一箱古本市、いつかスケジュールが合えばぜひぜひ御覧いただきたいと思っています。

フェルメール展、私は来週観に行くつもりです。そして宝塚にも行かれるのですね。宝塚は一度見てみたいと思っているのに野望を果たせず残念に思っています。宜しければ宝塚のこと、いろいろ教えてくださいね。あと今度上京される機会がありましたら、ぜひぜひご連絡していただけるとうれしいです。私で宜しければ、東京をご案内いたしますよ〜。いつかお目にかかれることを楽しみにしています!
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