カテゴリ:本・映画・アート( 23 )
黒田武志作品展「ナマエのないカタチ」
伊丹市立伊丹郷町館(旧岡田家住宅・酒蔵/旧石橋家住宅)で開催されていた、黒田武志さんの作品展「ナマエのないカタチ」に行ってきました。会場は兵庫県伊丹市にある酒蔵と住宅、現存する最古の酒蔵だそうです。前回の大規模作品展「百年後の博物館」とは趣向を変えた和の匂いのする空間に黒田さんのオブジェ・映像・インスタレーションが配置され、作品巡りとともに、文化財であるこの会場の雰囲気も楽しむという貴重な体験ができました。

会場は撮影可だったので、撮った写真をアップしてみました。作品数が多く、すべてを網羅的に撮影したわけではないのでここで紹介をしているのはごく一部のみです。全体的にオブジェ的な作品の撮影が多いですね。写真は石橋家住宅の1階に展示されていたオブジェがメインです。岡田家住宅・酒蔵は暗かったので撮影が上手く行きませんでした。
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今回の作品展で個人的に印象に残ったのは「音」や「動き」のある作品でした。錆びたオブジェからオルゴールの音がこぼれるのにはっとしたり、さらさらと乾いた心地よい音を奏でる「SEED and DUST」シリーズが楽しかったり、タイポグラフィーと組み合わせた「言語の音楽/文字のオルゴール」などに特に興味を惹かれました。しかし気がつけば「SEED and DUST」も「言語の音楽/文字のオルゴール」も写真がなく…。会場にてひとしきり遊んで満足したのか、ころっと写真撮影を忘れていたようです(笑)。インスタレーションといえば、酒蔵のなかでの映像インスタレーションも興味深かったです。「瓶詰めの記号/撹拌されるユリシーズ」。試薬瓶のなかで小説「ユリシーズ」の断片が撹拌され、それが暗い酒蔵のなかにリアルタイムで投影されるという趣向でした。

このあたりが石橋家住宅二階に展示されていた、Experimental Works[6×3≠18]シリーズをモチーフにした実験的な作品…のごく一部です。
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私自身活字や読書文化を専門にしている研究者の卵であり、またアカデミックな問題意識と連続しつつも、それとはまた違った表現技法で「書物」と向き合うクリエイター(という言葉を自分で名乗るのは本当は嫌なのですが、とりあえずわかりやすいので今回はこう書きます)としての方向性も模索しているところです。書物や言葉を用いた作品を見つつ、「私は今後何をしていきたいのだろう」としばし考え込む瞬間がありました。

大阪・梅田のHEP HALLで開催された「百年後の博物館」に引き続き、今回の展示を見に行くことができたのとてもよかったです。関東住まいなので行ける機会は限られてしまいますが、今後も大規模な展覧会は逃さないよう、黒田武志さんの仕事を追いかけていきたいと思いました。
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by yuriha_ephemera | 2010-12-21 09:01 | 本・映画・アート | Comments(0)
時の宙づり —生と死のあわいで
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8月上旬、静岡にあるIZU PHOTO MUSEUMへ行ってきました。目的は「時の宙づり —生と死のあわいで」展。この展覧会はチラシを見た時から非常に行きたいと思っていたものの、都内ではないので二の足を踏んでいました。東京に住んでいると展覧会が身近で行われている贅沢に慣れてしまうのか、展覧会のために遠出をするのが億劫になっていました。しかし今回ばかりはどうしても見たくて、友人たちも誘って出かけてきました。予想通りに面白い展覧会でいろいろと刺激を受けたし、また私の中で「日帰りで展覧会を見に行く」という回路が開けたのも収穫の一つでした。新幹線は使わず、鈍行を乗り継いだので東京駅から片道1500円で行くことができました。時間はかかるけど、喋っていれば時間なんてあっという間だし、これはなかなか楽しいな。次はまた静岡へロボ美展を見に行きたいななんて考えています。

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IZU PHOTO MUSEUMは杉本博司の設計による建築で、この写真からも伝わるかと思いますがミニマムなデザインでした。この研ぎ澄まされた空間の中で見た正と死の狭間の写真は格別でした。ポジにもネガにも見えるあのダゲレオタイプの美しいゆらめき、遺髪や写真をジュエリーに仕立てたものは私の今の関心をそそるし、また何よりもオブジェ的なハイブリッド写真が面白いなと思いました。ここで見たものはゆっくり消化して、自分の中に沈殿させ、そしてまた新たな形としてアウトプットできれば…と願っています。

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図録も出版されていますが、展示品がすべて収録されているわけではないのでやはり行かれるのがおすすめかと。ちなみに右はこの前資料として購入した洋書です。遺髪のジュエリーのエンサイクロペディア的な一冊でしょうか。ディープで濃厚な本。私は今、とても死のイメージ、死者たちの表象に惹かれています。現物や写真、そして本などの資料を集めていくのは楽しいです。生き延びていくために、生き延びていきたいこそ、私は別な形で死の世界に魅入られていて、その世界の中で戯れているのかもしれません。
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by yuriha_ephemera | 2010-08-18 15:02 | 本・映画・アート | Comments(0)
すべての青の標本
「アリス、兎穴の落としもの」の初日が終了しました。私のブログを見て行って下さったというお客様、またさっそくアクセサリーをお買い上げ下さったお客様もいたそうで、報告を聞いてとても嬉しくなりました。本当にありがとうございます。三連休の初日、そしてアリスイベントの初日はとても賑わっていたことでしょう。私も早く京都へ行きたいものです。

ところで3月20日はアリスイベントの初日だけではなく、私にとってはささやかな記念日です。実はHP NEW ATLANTISの10周年記念日なのです。今のような創作活動やイベント参加をはじめてからまだ二年足らずですが、それ以前から、10年前からずっとHPを作っていました。今では更新がブログそしてtwitterメインになってしまったためいささか放置されている感のあるHPですが、私の活動とイメージのすべての原点はこのサイトといっても過言ではありません。由里葉/NEW ATLANTISという同一性を保ったまま10年間ネットに自己を晒し続けているわけで、これはある意味パフォーマンスと言えなくもないよなぁと思う今日この頃です(笑)。10年前の自分がこんな人間になるなんてちっとも思っていなかったなぁ。書物のことはずっと考えていたので本の世界から離れることはないだろうとは思っていたけれど、ロリとかプラとか挙げ句の果てには創作活動とかねぇ、ほんと何なのでしょう…。人生とは全くわからないものです。

10年前にNEW ATLANTISというサイトを作った時、青くてきれいなイメージを鏤めたサイトにしたいなと思っていました。その時はまだ私にHP作りの技術がなくて上手くできなかったけれど、星空の壁紙を使ったりと嗜好の片鱗は出ていました。その後他の方の素材を使い、自分でフォトショなどを使って少しずつ画像加工ができるようになってきたのが2003年頃かな。今のHPのトップデザインにしたのも2003年の時だったと思います。今から見ると稚拙だとは思いますが、その時は自分のイメージを形に出来た嬉しさで一杯だったことをよく覚えています。青くて宇宙のイメージが漂う、それがNEW ATLANTISの変わらない世界だと思います。現在の創作活動では実はまだこのNEW ATLANTISのイメージが上手く出せていません。もっとセピアな色合いや世界になってしまうのです。そういう懐古的でノスタルジックなものも好きですが、宇宙的な青さをいつか創作でも出せたらいいな…というのが私の将来的な夢です。

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3月20日、三連休初日の土曜日、ふらりと出かけた森岡書店でこの本と出会いました。『BLUE PRINTS』とタイトルにあるこの本は隅から隅まで青く、その美しいブルーに目を奪われて買い求めました。

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カフェで一休みした時に中の写真を少し撮影。もっと好みのショットもあるのですが、とりあえずはこのあたりで。10年目の今日、この写真集と出会ったことは私は必然だと思っています。私にはよくあるのです、必然的な意味を持つ物との巡り合わせが。植物や生き物、そして骨格のブルーのどこか不思議で美しく、眺めていて飽きません。これはアール座の個展の時にセレクト本として喫茶店に並べようかな…と考えているところです。この青い世界を忘れないように出会った一冊なのかもしれません。私の大事な宝物の本となりました。
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by yuriha_ephemera | 2010-03-20 23:37 | 本・映画・アート | Comments(8)
最近見た展覧会など
最近見た展覧会やギャラリーでの展示の記録。写真がないものもあります。アート系・展示会情報と雑感は今はtwitterに流してしまっているのですが、ブログにきちんと記録として残しておくのも大事だなと思っているので、メモ程度でもざっくりと。

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現代美術館のレベッカ・ホルン展。今回の企画がなされるまで私は全くこの人を知らなかったのですが、非常に好みでした。すべての作品が機械仕掛けで動くようになっています。時間に追われてざっくり流してしまったので、動く瞬間を見届けられなかった作品もあり、それが心残り。映像作品も多く上演されていたので、ゆっくり時間をかけて見るのがおすすめかも。

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H.P.DECOで開催されているtestisの展示。古い時計屋に足を踏み入れたようで、絶え間なくコチコチと時計のムーブメントの音が響いてくる。無相創の作品もそうですが、破棄された機械部品を新たに甦らせたオブジェ嗜好なインテリア用品は好きです。今度H.P.DECOでは新世界透明標本の展示も行われるようなので、これにも行くつもり。

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Bunkamuraで開催されている「愛のヴィクトリアンジュエリー展」はお勉強のために見る。私が作っているのジャンクなアクセサリーだけれど、ジュエリーにも興味があるし物を見ることで学ぶことが多いので、最近はいろいろな展示や催しに足繁く通うようにしています。フットワークが軽いのは自分の強みだと思います。展示されているジュエリーは美しく、私は特にシードパールを用いた繊細なジュエリーが好きでこのポストカードを購入。後半にはレースの展示などもあり、レースの勉強中ということもありじっくり眺める。遺髪を用いたものは少し不気味さを感じつつもどこか惹かれていて、いつか何かアイテムを入手したいなと思っていたり。ただ単にきれいなものよりも、奇妙で不気味さのある物をキャビネットに陳列してゆきたい。

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代官山のAquviiで開催されているMAISSA TOULETの「Cabinets of Curiosities」。正直な感想を書けば自分の好みよりはキッチュで、あまりピンとこなかったなという感じ。このキッチュでシュールなテイストがよいという方もいるかと思いますが。ジョセフ・コーネルからインスパイアされているようですが、そういえば4月から川村記念美術館でコーネル展がはじまりますね。私は作品集は何冊も持っているけれど実物を見たことは実は一度もないので、とても楽しみにしています。

以下は写真のない記録。
・オブジェの方へ ー変貌する「本」の世界
うらわ美術館で開催されていた展覧会。私自身今後書物を用いた表現活動を展開しようと思っているので、勉強がてら見に行きました。資料として図録も購入したけれど、図録が大きくて本棚に入れるのにちょっと不便。。

・小村雪岱とその時代 埼玉県立近代美術館
うらわ美術館とハシゴ。金沢の泉鏡花記念館に出かけた時、展示されていた小村雪岱による装幀本に目を奪われて興味が高まっていたところに展覧会が開催されていることを知り、慌てて出かけました。資生堂時代の仕事から鏡花をはじめとする数々の本の仕事、「おせん」の挿絵や舞台美術など、多岐に渡る仕事ぶりが紹介されていました。私はやはり関心が書物にあるので、鏡花関連を一番真剣に眺めました。『日本橋』も好きだし、見返しに刷られた絵の冴え冴えとした青の美しさといい、素晴らしいです。今の芸術新潮が雪岱特集なんですよね、欲しいな。

・内藤ルネ展 大丸ミュージアム
私は古い物が好きなのですが、守備範囲が戦前どまりで戦後のものに対してはかなり疎かったりします。内藤ルネは名前だけは知っていたけれど実のところあまり仕事を知らなかったので、出かけてきました。私の基本的な好みとしては中原淳一をはじめとする叙情的でセピアなロマンティシズムに惹かれるので、ポップでキュートな世界観はまたちょっと自分の嗜好とは違ったりします。でもそういうのを抜きにしても内藤ルネの仕事はすごいなと思ったし、とても面白く見に来てよかったです。例によって本が好きなのでジュニアそれいゆ時代の仕事には興味津々だし(イラストよりもデザインの方に興味があるかも)、あと一番興味を持ったのは『私の部屋』で展開されたインテリアを通じた内藤ルネの世界と美学の具現化でした。彼の提示する世界観はただ「かわいい」だけではなく、そこには夢見る力が内在しています。この「夢見る力」というのが今後自分のキーワードかもしれないなと思いました。古いオリーブをめくっていて思うのですが、私はかつてのオリーブという雑誌を通じて提示された世界には「夢見る力」を感じるけれど、森ガールとかにはそれはないなと思う。などなど、最近の風潮に感じていた違和感が自分の中で多少説明がつくような気がしました。ファンシーグッズをはじめ、これだけの物が一堂に並べられいるのは壮観です。資料として図録を購入。

・医学と芸術展 森美術館
すみません、前の文章で力尽きました(笑)。これにも行きました。東大博物館の「命の認識」展も来週行こうと思っています。
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by yuriha_ephemera | 2010-02-06 22:52 | 本・映画・アート | Comments(4)
小林かいち、弥生美術館
またまたブログをご無沙汰してしまいました。本業の修羅場でどっぷり潜っていましたが、ようやくなんとか目処がついたので、再び浮上です。スケジュール的には大変厳しかったのですが、他人からどう評価されるかはともかく、自分の中での目標をちゃんと達成できたので個人的には満足です。この頃やっと論文を書くということに慣れてきた気がします。これからもガシガシ論文を書いて投稿しなければ(そして落とされてもへこたれない・笑)。今までは嫌なだけでしたが、こんな感じでようやく研究が少し面白くなってきました。またすぐに忙しくなってしまうけれど、8月末は多少お出かけしたりのんびりしたりできるかな。遅い夏休みですが、心身ともに疲労したので(頭脳労働って動かないのにものすごく消耗します。。。)、これからは多少リラックスモードで日々を過ごしたいと思います。でも8月中に次のための資料集めをはじめないとダメだな…。大学院生業と創作の両立はものすごくキツイですが、どちらも私のやりたいことなので、しばらくは院生業を優先しつつ、活動を続けていきたいと思っています。

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ようやく作業が一段落したので、息抜きがてら展覧会をハシゴしてきました。まずはニューオータニ美術館で開催されていた「謎のデザイナー 小林かいちの世界」展へ。小林かいちの小展示はかつて弥生美術館で見たことがあるのですが、これほど多数の作品が揃っているのは初めてでした。かいちは近年再発見・再評価が進んでいるデザイナーで、星や月、十字架や薔薇やハート、さらにはトランプなどをモチーフに、独特の重厚な色彩とモダンな作風が新鮮なデザイナーです。センチメンタルで夜の気配が作品から漂ってきます。モチーフや作風的に、ゴスやらロリやらな方たちもきっとお好きではないかと。私はトランプが好きなのでトランプを用いたデザインが気になったのですが、解説に「カフェーでトランプ遊びが流行した、トランプはモダンさの象徴だった」(メモを取っていないのでうろ覚え)というようなことが書いてあり、興味深かったです。とても好きな「彼女の青春」のポストカードがあったので買ったのですが、家に帰って開けてびっくり。何このペラい紙は、おまけにこれインクジェットで印刷してませんか?800円もしたのに、ちょっとトホホな気分。赤と黒に銀色で楽譜というデザインの「さんびか」をはじめ、絵葉書に好きなデザインが多かった気がします。

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ニューオータニ美術館のあとは弥生美術館へ。今日はレトロづくしですね。「昭和少年SF大図鑑」展を見てきました。見かけは一見乙女でも心は少年(もしくは「漢」)と自認しているわたくし、こういうのを見るともうもうテンションが上がってしまってダメです(笑)。科学技術や未来に対する全く曇りのない、すがすがしいまでのオプティミステックな明るさ、そして想像されている技術や未来予想図のキテレツさがたまりません。レトロフューャー、懐かしい未来都市、私の好きな科学と技術の夢。いろいろな技術が描かれたり、また空想されていましたが、なぜか一番印象に残っているのは「FBI自動たいほ器」。お馬鹿系ダイスキな私にはたまらなかったです。逮捕器ではなく「たいほ器」なのもマヌケさをアップ。ちなみに弥生美術館の次の展示は「少女の友」展、そして安野モヨコ展「レトロモダンな世界」も3階で開催されるそうです。こちらも必見ですね。

あとは例によってヴィンテージショップ、アンティークショップをふらついて、素材やら小物やらをちょこちょこ買い込んでいます。9月になったらまた本業が忙しくなるから、8月中にアクセ作りを少し進めておかないとダメだな。ただ、まだ疲れすぎていて創作モードのスイッチが入りそうにありませんが…。。とりあえず、またゆるゆるブログの更新も再開していこうと思っています。
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by yuriha_ephemera | 2009-08-16 20:44 | 本・映画・アート | Comments(6)
心の栄養モロモロ
尋常ではなく忙しいけれど、そこは気合いで乗り切って、あちこち出歩いています。忙しさにかまけて部屋に籠っていたら、心が乾涸びてしまうから。外からの素敵な刺激を受けると元気になります。最近の心の栄養、つまりは出かけた催しモロモロです。

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27日は高円寺にあるR座読書館で開催された、鳩山郁子さんの新刊『ダゲレオタイピスト』のサイン会へ。会場となったR座読書館の存在は鳩山さんのこのサイン会で初めて知ったのだけれど、ものすごく好みの喫茶店でした!一人で静かに本を読むために通うことになりそうです。一人一人の机があって、水槽の中でゆらゆら魚が泳いでいて、本の密度が心地よい不思議な図書館みたい。中央線沿線のお気に入り喫茶店がまた一つ増えました。

昨日はカメラを忘れてしまったので、テキストだけ。日本近代文学館で開催されたシンポジウム、尾崎翠の新世紀に出かける。映画「こほろぎ嬢」の上演の他、池内紀の講演、吉野朔実などがパネリストとして参加するディスカッションなど盛りだくさんな内容でした。1時間半は長いかも…と失礼ながら思っていた池内氏のお話がとても面白く、またお話上手で時間があっという間で充実感。思わずメモを取りながら聞き入っていました。パネルディスカッションでは、私見では吉野朔実氏の独断場。指摘の鋭さ、そして話し振りが群を抜いて際立っていました。吉野さんの漫画から彼女の思考、そして深い人間洞察は存分に伝わってきたけれど、トークで聴いても改めて素晴らしかったです。元々吉野さんの漫画は大好きだったけれど、ますますファンになりました。島根の観光局と組んだイベントで、会場で配られた資料の中に島根のパンフレットがたくさん入っていた。島根そして鳥取砂丘はずっと前から行きたいと思っていた場所だった(たぶん日野啓三の『砂丘が動くように』の影響)。尾崎翠が生まれ、上京と挫折の帰還の往復運動を幾度も繰り返し(この日はこの往復運動が何度も話題になっていた)、さらに長い後半生を過ごした場所、島根。ここもきっと、数年のうちに訪れる場所だと思います。

シンポジウムの後はBunkamura Galleryで開催されている「山本六三展 ー聖なるエロス−」へ。以前スパンアートギャラリーで開催された山本六三展に出かけたことがあるが、その時もよりもずっと内容が充実している印象。私は山本の油彩が特に好きなので、油彩作品が多数展示されていたのがうれしかった。個人的な好みで言えば、油彩では「砂の上のヘルマフロディトス」と「スフィンクス」、エッチングでは吉田一穂の「白鳥」関係、そして鉛筆画では「眠れる少女」だったか「眠る少女」だか、息を飲むほど繊細な繊細タッチで描かれた、長椅子の上をしどけない姿で眠る美しい少女の姿が忘れられない。図録があってぜひとも欲しいと思ったのだが、生憎品切れだったので予約申し込みをし、後日手元に届く予定。時間があまりなくてかなり慌ただしく見回ってしまったところがあるので、印刷物とはいえ図録が届いたら改めて家でじっくり作品を眺めてみようと思っている。

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映像刺激。3月27日に発売となった、クエイ兄弟の待望の「ショート・フォルム・コレクション」。ようやくクエイ兄弟の「ストリート・オブ・クロコダイル」がDVD化ですよ…。長かったわ、ここまで。去年はサラ・ムーンのミシシッピー・ワンも写真集とセットとはいえDVD化されたし、かつてビデオで見て長らく手元になかった映像がDVDになって買えるようになったのがとてもとてもうれしい。クエイ兄弟は「ストリート・オブ・クロコダイル」が何より好き。この映像、そして世界観。左は映画創世記短編集で、ジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」と「日食」、さらにハンス・リヒターの「午後の幽霊」、ヴィキング・エッゲリング「対角線交響曲」が収録されている。このあたりの映像はネットでも簡単に見ることができるけれど、資料として手元にがっちりキープしておきたかったのでDVDを購入。

今日はこれから弥生美術館と庭園美術館をハシゴです。ウィリアム・モリスの展示も4月5日で終わってしまうから、こちらも行かなければ!
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by yuriha_ephemera | 2009-03-29 10:16 | 本・映画・アート | Comments(8)
星見人の黄昏
ここ数日は歌舞伎に出かけたり、古本関係の飲み会に出たり、古書の買い過ぎで腰が痛くなったり(笑)、そんな日々を過ごしています。いい加減遊んでばかりではなく勉強もしなければ。。。と言いつつ、明日は維新派の新作のチケやらコシミハルさんのミュージックホールのチケを取りに行く予定ですが。あ、プラの追加公演のチケにもエントリーしなきゃ(追加公演が決まったので結局プラのファイナルは見れそうです)。全く、私は何をやっているんだか。でもこうやっていろいろ出歩いているのは、私の経験というか糧になっているのは間違いないです。インプットなしで、決してアウトプットなんてできませんから。という言い訳を元に、日々ひたすら出歩いている私です。学業の方もまだ諦めたわけではないので、もうちょっと足掻いてみようとは思っています。

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遅くなりましたが、Iriasで開催中の「猫と宇宙展」で購入したシルエット工場の作品です。タイトルの通り、猫と宇宙モチーフの新作が多数展示されていて、大変好みでした。地球儀やロケットをはじめ、天体模型と称したいような作品もあり、悩みつつ選んだのはこの作品。望遠鏡というモチーフ、また細かく作り込まれた造形、さらにシルエットの感じが好みだったのが決め手です。でも望遠鏡を覗き込んでいる猫もかわいかったなぁ…。などと未練が残る作品がたくさんありました。写真がきれいに撮れなかったのですが、シルエット工場のオブジェはとても好きなので、これから宇宙っぽいモチーフを中心に少しずつ集めていきたいと思っています。「猫と宇宙展」は7月22日(火)まで古今東西雑貨店Iriasで開催中です。私も余裕があれば、もう一度覗きに行きたいなと思っています。
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by yuriha_ephemera | 2008-07-12 15:37 | 本・映画・アート | Comments(2)
リセット!
またまたブログが止まってしまいました〜。別に落ちていたわけではなくて、忙しかった&肉体的にちょっとバテていてネット関連まで手が回らなかったというだけです…。このところ出かけたところを簡単にまとめてみました。

・コクーン歌舞伎…今年は「夏祭浪花鑑」。友人にチケを頼みましたが、後援会パワーで最前ゲット。さすが後援会だわ。しかしいざ行ってみると、逆に舞台と近すぎて空間全体を俯瞰できないという弱点が…。コクーン歌舞伎の時は前の方は床に座布団という平場席になるのだけれど、ステージとの距離が50cmくらいしかなくておまけにステージも低いので、全体の絵を掴むのに苦労しました。歌舞伎座の最前とは違い、平場席ではデメリットも少々ありかも。有名な舅殺しのシーンは間近でしかと見れて迫力がありましたがね…。本物の泥水を使うので前の方は合羽やらビニールシートを渡されてそれに包まって見ていたのだけれど、殺しのシーンが意外に長くて暑くて脱水症状になるかと思いました(笑)。これもコクーン歌舞伎ならではの演出でした。ラストは劇場の奥の壁を突き破って逃走、そしてパトカーが出てくるという時代ミックスな演出。歌舞伎座では味わえないケレン味たっぷりでよかったです。ストーリーとしては去年の三人吉三の方が好みだし「ストーリーが結構たらたらしているというか淡々としているなぁ」と思う箇所が途中にありましたが、でも二幕目のスピード感・怒濤の展開では気持ちが盛り上がりました。なんだかんだ文句もありましたが、やはりコクーン歌舞伎は楽しいですね。また来年も出かけたいです。

・大岩オスカール展@現代美術館…友達と待ち合わせて一緒に大岩オスカール展に出かけてきました。面白かったし、とてもよかったです。大きな絵画作品がメインで、近くで見るとタッチは粗めなのに、距離を置いてみると画面全体にものすごく立体感があったりきれいだったり…。頭の中ではもうちょっといろいろと分析的には考えているのですが、時間もないし今ここでテキストにまとめるのは難しそうです。どの駅からも1キロくらい歩くという不便きわまりない現代美術館にわざわざ出かけた甲斐がありました。大岩オスカール展の後は銀座に移動して銀座人形館で開催中の少年人形展を見に行きました。浦野由美さんのクラシカルな少年たちがたくさんいて目の保養。浦野さんの個展は行きそびれてしまったので、少年展で予想以上にたくさん作品があってうれしかったです。

・日曜日は某地方都市へ…用事があったので、日曜は某地方都市へ出かけてきました。ギリギリまでどうしようか迷っていたけれど、このところ悩んでいた事に対する気持ちの整理をするきっかけとなったので、出かけてよかったです。これでようやく気持ちをリセットかなぁ。7月からは、また本業も頑張ろうと思っています。最後まではいなくて途中で抜け出して早めに帰ってきたのですが、バスが来るまで時間があったので駅前の書店で「Taste of Chaos 2008」特集のSHOX'XEXを買いました。MUCC、D'espairsray、the Underneathの三バンドが出演したアメリカ公演ツアーの記録本。写真もインタビューもよくて、本命バンドがいるわけではないのに思わず買って熟読してしまいました。それぞれのバンドがアメリカ公演を通じて学んだこと、そして三バンドの横のつながりという交流が垣間見えて、面白かったです。実は日曜日に川崎で凱旋ライヴがあって興味を惹かれたのですが、6時過ぎに新宿に戻ってきたらもうへろへろで、チッタに着く頃には開演後一時間は過ぎているよな、疲れてるし無理だわ…と思って諦めてしまいました。あらかじめチケを買っていたら、たぶん這ってでも出かけたと思うんですけどね。。心理作戦失敗です。インタビューや写真を見て、やっぱりムックはすごいバンドだなと思いました。メンバー顔が広いし、イベントを企画して実行するという力もあります。ムックというバンド自体が人気があるし、さらにイベントプロデューサー的な才能を発揮していて(これはムックがというよりミヤがすごいということかもしれないけど)、非常に頼もしいです。去年末にプラが出たカウントダウンライヴもやはりムックを中心に話しが出て企画されたイベントだったはず。私は帰省で見れませんでしたが…。ムック主催のイベントには、そのうち出かけたいです。そしてセッションもたっぷりあったという29日のライヴはやはり無理をしてでも行けばよかった、新宿から荷物持ったまま飛んでいけばよかった…と激しく後悔しているところです。。あうあう。

・その他もろもろ
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Janeの秋物カタログを見たり、ART-SCHOOLとディーパーズの2マンライヴに出かけたり、さっそくセール品を買い出したり(今の私は物欲満々)。これは今日買ってきたヴィヴィアンのソックス。ソックスというか、アームウォーマーか?パンクっぽいコーデ向きかなと思いつつ、安くなっていたしデザインが気に入ったので買ってみました。あとは無印にて1500円で紺のパーカーを購入。これはカジュアル&少年っぽいコーデの時に活躍してくれそう☆他にもいろいろセールは出かけてこようと思っています。

そんなわけで、私は元気です。6月は本気で鬱々していましたが、7月からはまたいつも通りな感じで日々を過ごしていきたいと思っています。コメントもこれからお返事させていただきますね。このところずっとレスポンスが遅くて申し訳ありませんでした。
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by yuriha_ephemera | 2008-06-30 21:01 | 本・映画・アート | Comments(2)
VICTORIAN INVENTIONS
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ブログには紹介していませんが、相変わらず古本を買っています。これは最近買った本の中で一番のお気に入り。中央線沿いの某古書店の店頭で見つけました。見た瞬間ズキュンと心を打ち抜かれた「VICTORIAN INVENTIONS」。表紙を見ればおおよその内容は予想できるかと思いますが(笑)、隅から隅まで珍奇であやしくて見ていると思わずニヤニヤニヤニヤ。図版が多く、しかし適度に解説文がついているので、眺めるだけではなく読み物としても面白いです。この本はイメージソースとして今後活躍してくれると思います。ヘンテコ機械や科学技術好きにはたまらない一冊です。タイトルは「ヴィクトリアン・インベンション ー19世紀の発明家たち」。1977年にシグマから発売された本です。

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以下は雑記です。明日は友人と一緒にコクーン歌舞伎に出かけてきます。一年ぶりのコクーン歌舞伎、去年の三人吉三はすごく面白かったので今年も期待。7月8月も歌舞伎の予定は多く、7月は海老玉の泉鏡花もの、そして8月の納涼歌舞伎はまだチケは取っていないけれど野田秀樹ものに出かけたいと思っています。それにしても7月8月の私の予定はカオスだ…。歌舞伎あり、ジャニコンあり(KAT-TUNのドームに行きます。エンタメとしてのジャニーズをまた観察してきます)、松尾スズキの舞台あり、もちろんプラをはじめヴィジュアル系のライヴあり…。いまいち趣味のよくわからない人と化しつつある気がします。そしてヴィジュアル系といえば、このところ(別な意味)で微妙にお気に入りのディスパ。ゴスロリあぼーん(注:ニコニコ動画です)を聴いて部屋で笑い転げています。ディスパに関しては、どうにも不純な楽しみ方しかできない自分がいますね…。
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by yuriha_ephemera | 2008-06-22 14:16 | 本・映画・アート | Comments(18)
演劇博物館/維新派という現象
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久しぶりにゆっくりできた休日。本日から演劇博物館で始まった「維新派という現象」を見るために早稲田の演劇博物館に出かけてきました。簡単な感想はサイトの日記にアップしたので(今後はこちらも更新していく予定です。長らく放置をしていてすみませんでした)、ブログでは写真つきで演劇博物館の紹介でも。

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演劇博物館は初めてだったのですが、建物もかわいくて中身も面白かったので、とても気に入りました。「維新派という現象」もなかなか充実していて、維新派ファンにはおすすめですよ〜。20世紀三部作の第二作「聖・家族」のプレビュー公演が4月に開催されますが、こちらは室内なのでパスをします。でもその分秋にびわ湖水上舞台で開催される公演は遠征します!私が迷わず遠征するのは音楽ならプラ、そして演劇なら維新派。どちらも私を構成する大切な要素です。秋公演楽しみだなー。

ところで早稲田の演劇博物館といえば坪内逍遥。博物館前に銅像と碑があったのですが、それを見て思わず笑いが。
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うわぁ、拓本取った人いるんだ(笑)。

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by yuriha_ephemera | 2008-03-01 20:28 | 本・映画・アート | Comments(4)
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