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時の宙づり —生と死のあわいで
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8月上旬、静岡にあるIZU PHOTO MUSEUMへ行ってきました。目的は「時の宙づり —生と死のあわいで」展。この展覧会はチラシを見た時から非常に行きたいと思っていたものの、都内ではないので二の足を踏んでいました。東京に住んでいると展覧会が身近で行われている贅沢に慣れてしまうのか、展覧会のために遠出をするのが億劫になっていました。しかし今回ばかりはどうしても見たくて、友人たちも誘って出かけてきました。予想通りに面白い展覧会でいろいろと刺激を受けたし、また私の中で「日帰りで展覧会を見に行く」という回路が開けたのも収穫の一つでした。新幹線は使わず、鈍行を乗り継いだので東京駅から片道1500円で行くことができました。時間はかかるけど、喋っていれば時間なんてあっという間だし、これはなかなか楽しいな。次はまた静岡へロボ美展を見に行きたいななんて考えています。

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IZU PHOTO MUSEUMは杉本博司の設計による建築で、この写真からも伝わるかと思いますがミニマムなデザインでした。この研ぎ澄まされた空間の中で見た正と死の狭間の写真は格別でした。ポジにもネガにも見えるあのダゲレオタイプの美しいゆらめき、遺髪や写真をジュエリーに仕立てたものは私の今の関心をそそるし、また何よりもオブジェ的なハイブリッド写真が面白いなと思いました。ここで見たものはゆっくり消化して、自分の中に沈殿させ、そしてまた新たな形としてアウトプットできれば…と願っています。

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図録も出版されていますが、展示品がすべて収録されているわけではないのでやはり行かれるのがおすすめかと。ちなみに右はこの前資料として購入した洋書です。遺髪のジュエリーのエンサイクロペディア的な一冊でしょうか。ディープで濃厚な本。私は今、とても死のイメージ、死者たちの表象に惹かれています。現物や写真、そして本などの資料を集めていくのは楽しいです。生き延びていくために、生き延びていきたいこそ、私は別な形で死の世界に魅入られていて、その世界の中で戯れているのかもしれません。
by yuriha_ephemera | 2010-08-18 15:02 | 本・映画・アート
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