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黒田武志作品展「ナマエのないカタチ」
伊丹市立伊丹郷町館(旧岡田家住宅・酒蔵/旧石橋家住宅)で開催されていた、黒田武志さんの作品展「ナマエのないカタチ」に行ってきました。会場は兵庫県伊丹市にある酒蔵と住宅、現存する最古の酒蔵だそうです。前回の大規模作品展「百年後の博物館」とは趣向を変えた和の匂いのする空間に黒田さんのオブジェ・映像・インスタレーションが配置され、作品巡りとともに、文化財であるこの会場の雰囲気も楽しむという貴重な体験ができました。

会場は撮影可だったので、撮った写真をアップしてみました。作品数が多く、すべてを網羅的に撮影したわけではないのでここで紹介をしているのはごく一部のみです。全体的にオブジェ的な作品の撮影が多いですね。写真は石橋家住宅の1階に展示されていたオブジェがメインです。岡田家住宅・酒蔵は暗かったので撮影が上手く行きませんでした。
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今回の作品展で個人的に印象に残ったのは「音」や「動き」のある作品でした。錆びたオブジェからオルゴールの音がこぼれるのにはっとしたり、さらさらと乾いた心地よい音を奏でる「SEED and DUST」シリーズが楽しかったり、タイポグラフィーと組み合わせた「言語の音楽/文字のオルゴール」などに特に興味を惹かれました。しかし気がつけば「SEED and DUST」も「言語の音楽/文字のオルゴール」も写真がなく…。会場にてひとしきり遊んで満足したのか、ころっと写真撮影を忘れていたようです(笑)。インスタレーションといえば、酒蔵のなかでの映像インスタレーションも興味深かったです。「瓶詰めの記号/撹拌されるユリシーズ」。試薬瓶のなかで小説「ユリシーズ」の断片が撹拌され、それが暗い酒蔵のなかにリアルタイムで投影されるという趣向でした。

このあたりが石橋家住宅二階に展示されていた、Experimental Works[6×3≠18]シリーズをモチーフにした実験的な作品…のごく一部です。
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私自身活字や読書文化を専門にしている研究者の卵であり、またアカデミックな問題意識と連続しつつも、それとはまた違った表現技法で「書物」と向き合うクリエイター(という言葉を自分で名乗るのは本当は嫌なのですが、とりあえずわかりやすいので今回はこう書きます)としての方向性も模索しているところです。書物や言葉を用いた作品を見つつ、「私は今後何をしていきたいのだろう」としばし考え込む瞬間がありました。

大阪・梅田のHEP HALLで開催された「百年後の博物館」に引き続き、今回の展示を見に行くことができたのとてもよかったです。関東住まいなので行ける機会は限られてしまいますが、今後も大規模な展覧会は逃さないよう、黒田武志さんの仕事を追いかけていきたいと思いました。
by yuriha_ephemera | 2010-12-21 09:01 | 本・映画・アート
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