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メルト

**甘くて奇麗で 虚ろで退屈
去りゆく季節に お別れの花を
僕は何一つ 君を救えずに
絞り出す言葉 「これは誰の夢?」**

**ネガな感傷に 色彩は不要
絞り出す言葉 「これは誰の夢?」**

Plastic Tree「メルト」 (長谷川正作詞・作曲)


相変わらず「ウツセミ」をヘビロテ中です。気に入っている曲はたくさんありますが、今の淀んだ気分がやたらとこの曲を欲しているのか、ここ数日は「メルト」ばかり聴いています。「メルト」はいいですよね。いかにも正さんらしい重低音が響くAメロBメロときて、サビでは和メロを思わせるメロディアスなフレーズという意外な展開を見せます。それがまたかっこよくて、好きです。プラの曲で和メロテイストって実はほとんどないから、新しい感じ。全編和メロではなく、サビだけ、しかもあのAメロに繋げてくるところにセンスを感じました。今回は久しぶりに「メロディメーカー長谷川正復活」という感じで、メルトをはじめバルーンなど正さんが好みど真ん中のよい曲を書いてくれてうれしい。初期曲は「作詞竜太朗、曲正」という組み合わせがほとんどだったけれど、コンポーザーが増えて、正さんは竜太朗やアキラ曲と差別化をはかるようにヘヴィな重低音が前面に出た曲を多く作るようになりました。ベース好きだからベースがゴリゴリな曲は大好きだけど、でも美メロ曲もまた作ってほしいなぁと内心思っていたのです。「真っ赤な糸」もいいなとは思っていたけれど、今回のアルバム曲はまた格別です。

あと驚いたのは「メルト」と「バルーン」の歌詞。わたし正海月なのですが、そんな私でさえ正さんの歌詞はぶっちゃけ微妙だ…と思っておりました。なんていうんだろ、別に使っている単語やフレーズが悪いわけではないのだけれど、水みたいに印象に残らないのですよね。アキラ歌詞は好みど真ん中ではないけれど、よくわからない感じが面白いというか、私の中にゴツゴツした異物感を強烈に残してくれます。あとアキラ詞は三人の中で一番虚無感が出ているかも。あまりキャッチーではないと思うけれど、理解不能なところを含めて非常にセンスのある人だと思います。本当にアキラはすごい。ただアキラのやることと私の好みが若干合わないところがあって、「cell.」や「シャンデリア」の頃はそれに非常に苦しめられました。でも「ネガポジ」「ウツセミ」でようやくアキラの方向性と自分の好みがクロスオーバーしてきているのを感じます。「ウツセミ」のアキラ曲はホントにかっこいいもんなぁ。すごく気に入っています。アキラテイストに対する屈折した感情、アキラはすごく好きだけど音楽的にはちょっと合わないというわだかまりがここ1、2年ほどでようやく氷解している気がします。でも従来のアキラ海月さんはまた違った見方をするのかも。私はガチなベース好きの正海月で下手住人で、でも周りには上手派のアキラ好きが多くて、音源やライヴを含め同じプラの話しをしても結構視点が違うことがしばしばあります。それが面白かったりもするのですけどね。

話しが脱線しましたが、歌詞の話し。竜太朗は以前より言葉に対する比重が少なくなっているのだろうなぁとは思いつつも、やっぱり彼の書く詞には惹かれています。最近は歌詞が以前より一層ストレートになってきているのかな(良くも悪くもストレートという見方もできますが)。竜太朗は私にとって「変わり続けて前に進んでいくPlastic Tree」を体現している人なので、そういう意味でも私は一番竜太朗の言葉(インタビューを含め)に注目していると思います。だからなんとなく「私は竜太朗寄りの正海月なのかも」と先日まで思っていましたが、夏の札幌ライヴで最前に入って、ステージ上のメンバーを至近距離で見て、もう正さんしか目に入らなくて(笑)、「ああ、私やっぱり骨の髄まで正海月なんだ…」と思いました、はい。リーダーかわいいよリーダー。で、正歌詞なのですが。「メルト」も「バルーン」も歌詞が大好きで、まさか正歌詞をこんなに噛み締める日が来るとは…という感じです。叙情的で風景が見えて、少し痛くて憂鬱。そうそう、こんなのを求めていたのです。気に入っている曲が多い「ウツセミ」の中でも、「メルト」と「バルーン」は心に静かに染み込んできます。ああ、「ウツセミ」の全曲レビューを書きたい。でも今はそんな現実逃避をしている場合じゃないわ。。。

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写真がないと寂しいので、一枚ペタリ。名古屋のシマウマ書房です。ここで竹宮恵子特集の「ぱふ」(1982年のもの)と高橋睦郎の詩集『分光器』を購入しました。今度竹宮恵子と増山のりえのトークに行くので(変奏曲好きにはたまらん組み合わせだわ!)、予習を兼ねてぱふを買ってみました。「ぱふ」という雑誌は今でも健在だけど、今のぱふしか知らないから1982年のものには驚きました。ひたすらテキスト、テキストびっしり。読み応えがあって、なかなか面白いです。シマウマ書房では「縞」というフリーペーパーももらってきました。カラーでデザインも素敵。本山マップが載っているので、今度また名古屋に出かけた時はシマウマ書房ばかりではなくこのマップを見ながら本山散策を楽しみたいと思っています。気になるお店がちらほら。また来年名古屋に遊びに行きたいです。
by yuriha_ephemera | 2008-10-07 23:19 | voyage
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