今年の一箱古本市に出品する本のリストです。書けたところまで一旦アップしますが、これで半分くらいかな。理科っぽい本が後半にかたまっているのでここにはほとんど載っていませんね。今年も用意しています。本のタイトルに加え、解説にすらなっていない私の長ったらしいコメントつきです。本のリストを公開するのはネタバレで面白くないという意見もありそうだけど、これはある意味私のブックリストなので、それも合わせて楽しんでいただけたらうれしいです。
・葦原邦子『すみれ咲き愛みちて』婦人画報社、1988 中原淳一の本を入れたので、妻の葦原邦子の本も入れてみました。女の自叙伝を読むのは好きです。口絵には宝塚の男役時代の写真も載っています。息子が書いた中原淳一本も入れようかと思いましたが、なんとなくきれいな側面だけでまとめたくて、今回は省いてしまいました。こちらあえていえば「ネガ」な話しでしょうか。 ・安野光雅『天動説の絵本』福音館書店、1979 子供の頃、この絵本が家にあればよかったのに…と初めて本を手に取った時に思いました。大人が読んでも興味深い一冊です。淡い水彩の絵も牧歌的すぎず、気に入っています。 ・巌谷小波『當世少年氣質』 昔の本のデザインが好きなので、毎年一冊は復刻本を函に入れます。今年は全体的にちょっと渋いセレクトかも。日本時代文学館による名著復刻で、原本は明治25年に博文館より発行されています。 ・巌谷大四『本のひとこと』福武書店、1983 狙ったわけではないですが、巌谷小波・巌谷大四親子が並びました。巌谷大四は小波の四男です。文壇通・文学史通として著名で著作もたくさんありますが、これは本読みの顔が存分に発揮された一冊です。 ・緒川たまき『Mexicoガイコツ祭り』ピエ・ブックス 私にとっては元祖文科系女子的な存在である緒川たまきさん(私が彼女を知った頃は、こんな言葉はまだ存在していませんでしたが)。緒川たまきさん自身が撮影したメキシコのガイコツ祭りは、少し怖くてとてもキュート。魚眼レンズ好きに勝手にシンパシーを感じてます。 ・神田理沙『17歳の遺書』サンリオ文庫、1984 原口統三 、高野悦子、南條あや…若くして自ら命を断った人の手記や日記をたくさん読んでいた時期がありました。サンリオ文庫から出版された、ひっそりと可憐なこの本もそんな系譜の一冊です。 ・北杜夫『少年』中央公論社、1970 北杜夫はユーモアもよいですけれど、それより鬱で内向的で叙情的な作品が本質のような気がしています。数多い北杜夫作品の中でもそのものずばりなタイトルの一冊を選びました。宇佐美爽子の挿画もよいです。この本と『幽霊』はとりあえず基本ですね。 ・草間彌生『マンハッタン自殺未遂常習犯』工作舎、1978 「わたし大好き、草間彌生」。私の函の中では唯一例外に高値をつけた本です(函の中では高いけれど相場よりはずっと安い値段です)。欲しいと思っている方の手元に渡ってくれれば、そう願っている一冊です。 ・楠田枝里子『ロマンチック・サイエンス』角川文庫、1985 楠田枝里子の本では、やっぱりこれが一番好きかな。サイエンスをこういう切り口で語ることは私の憬れでもあります。 ・河野信子・十川治江『電子とマリア』 プラネタリーブックスです。工作舎本も毎年我が函の恒例です。今年も何冊か入っていますよ。 ・小林多喜二『工場細胞』 下流社会、ワーキングプア、この21世紀になって『蟹工船』が若者の間でブレイクするとは一体だれが予想したでしょうか、いやはや。そんなことを意識しつつ、でも天の邪鬼なので『蟹工船』ではなくこちらを。工場細胞というタイトルがお気に入り。昭和5年7月に戦旗社から発行された本の復刻です。 ・酒井景都『ヨーロピカ』中央公論新社 コルキニカのデザイナーでモデルでもある酒井景都さんの本。かわいくてロマンティックがいっぱい。横浜案内の頁がお気に入り。コルキニカの方向性についての個人的な好みでいえば、わりとありがちなかわいいガーリー系になってきているのがちょっと残念かも。昔のデザインと世界観の方が個人的には琴線に触れました。 ・佐々木丸美『花嫁人形』講談社文庫 佐々木丸美の本が全巻復刻されたことは、近年の私の中のビックニュースでした。本当は『雪の断章』もしくは『崖の館』をセレクトするのがバランスがよいのでしょうが、私自身の思い出のために、あえて初めて読んだ作品である『花嫁人形』を函の中に入れます。ある意味トラウマになった一冊です。 ・札幌市教育委員会編『さっぽろ文庫20 札幌の自然』北海道新聞社、1982 北海道で長年こつこつと出版されているさっぽろ文庫シリーズ。マニアックな内容が多いなか、札幌の自然は入りやすい内容かと。みずいろの表紙が北国の風と空を思わせてきれいです。 ・佐野史郎『ふたりだけの秘密 ーあるいは、自転車・写真機・警報器』筑摩書房、1996 佐野史郎の長編小説。少年の多感な思春期が描かれています。装幀挿画は金子國義です。余談ですが佐野史郎の出演している映画『夢みるように眠りたい』は好きすぎて、DVDはもちろん聴けないにサントラのレコードまで買ってしまったほどでした。 ・関川夏央『昭和時代回想』NHK出版、1999 著者の個人的記憶を通じて描き出される、昭和という時代の大きな流れ。昭和と郷愁、ノスタルジーと記憶。私はついつい過去をノスタルジーという糖衣でくるんで甘く消費してしまうけれど、本当はとても苦いものなのだということも理解はしています。 ・高柳誠『廃墟の月時計/風の対位法』書肆山田、2006 気がつけば高柳誠の本が少しずつ手元に集まってきています。高柳誠の詩集はタイトルがどれもよいですよね。装画は建石修志。新作の『鉱石譜』も近々買わなくちゃ。 ・嶽本野ばら『カフェー小品集』青山出版社、2001 薬で逮捕されたことが記憶に新しいですが、しれっと復活して『タイマ』という本を出しちゃうしたたかさは案外嫌いじゃないかも。基本的にエッセイ派ですが、『カフェー小品集』と『ミシン』は例外的に好きな小説です。文庫で手軽に買えますが、単行本の方には写真が入っているのでこちらを出品しました。 ・立原えりか『小さな童話集 朝ごとの花束』講談社文庫、1983 小さな小さなお話が集まった、まさに花束のような本。立原えりかの作るストーリーは私にはメルヘンすぎる、甘すぎる…などと思いつつも、なんだかんだと本を集めています。この本は立原えりかの中でも気に入っている一冊です。 ・玉井勝美『パリの切手市』 駸々堂ユニコンカラー双書56、1978 パリと切手という組み合わせがたまりません。古い本なので実用的な本として役立つかは全く保証はしませんが、眺めているだけでも楽しいです。全体的に埃っぽい雰囲気の写真がいい感じです。 ・長田弘『ねこに未来はない』晶文社、1972 谷根千といえば猫。そこで猫本も選ばなければ!と意気込みました。どの本にしようか迷って、やっぱりこれ。傑作です。 ・長野まゆみ『少年アリス』河出書房新社、1989 『少年アリス』のセルフリメイク本が近日発売されるようですが、私にとって少年アリスとはあくまでもこの本であり続けることを確信しています。ぜひ緑の素朴な装幀で、この群青天鵞絨色のメルヘンをお楽しみ下さい。
by yuriha_ephemera
| 2008-10-10 01:49
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